溺愛ドロップス



…っ、ていうか…っ!!



一瞬にしてかぁっと熱を帯びたあたしの顔。



振り向いた直後、唇に触れた温もりと柔らかさは紛れもない、今、意地悪に弧を描いている男の子の唇で。



数分前、あたしの口を塞いでいたものと同じそれに、また同じことをされるんじゃないかとジャリ…後ずさるあたし。



バッと両手で口を覆い、自分の唇は自分で守る。



「…何?その反応。さっきは恥ずかしがんなかったくせに。」



意地悪く弧を描く唇は変わらない。「もしかしてベロチュー嫌い?」なんて、いや、経験したのはあなたが初めてですから!そんなの分かりっこない。



つーかベロ…っこほん。ややややっぱ口の中に入ってきたのって舌だったのか…っ。



口内で好き勝手暴れていた"何か"の正体がはっきりとした。



言われて、されたことを思い出し、さらに赤く染まったのは言うまでもなく、男の子の伸びてきた手にビクッと肩が跳ねた。



『…あでっ。』

「期待させて悪ぃけど、」



次に何されるのか怖くて、反射的にギュッと目を強く瞑って男の子をシャットアウト。



だけどあたしが頭に思ったことはしてこなくて。


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