溺愛ドロップス
かなり、予想外。
まさかデコピンが来るなんて思わない。しかも結構ピシッと強く指を弾かれて咄嗟に口から手をおでこに移す。
あたし、さっきから何でこんなデコピンばっかされてんの〜…。
零といい、この男の子といい。何だ何だ。デコピンのブームでも来てんのか!?なんて思う。
ジンジン、痛みを訴えるおでこを押さえるあたしは次にされることなんてまた、予想もしなくて――…。
「面倒くせぇけど、俺も式出なきゃなんねぇし。」
『…。』
「教室まで連れてってやっからお礼。」
――…え?
おでこの痛みに気を取られていたあたしは男の子が言ったことなんててんで聞いてなかった。
突然腰に回ってきた腕はグッと身体を前に引き寄せる。
はっ!?と驚きに見開いた瞳を持ち上げたなら、『…んぅ…っ!』そこを狙われた。
おでこに両手を当てたままで、唇を塞がれているあたしは端から見たらどれだけカッコ悪いんだろう。
スルリと容赦なく再び入ってきた舌にあたしの身体はビクッと大袈裟なぐらい反応して、おでこに当てていた手を思わず上に突き出した。