溺愛ドロップス
新聞を読んでいたであろうパパは「おはよう。」そう言いながら手に持つ新聞を折り畳んで苦笑混じりな笑みを浮かべる。
だけどそれさえも爽やかで、パパはもう40歳近いけど、見た目はまだまだ30歳前半。
実年齢より10歳も若く見えるカッコいいあたしの自慢のパパなのだ。
『そうなんだよパパ〜!しかも零の奴あたしを見捨てたんだよっ。』
「零?」
『うんっ。そう!あたし置いて先に行っちゃった。』
「ん?」
『酷いでしょ!?帰ったら懲らしめて、』
「零ならまだ行ってないと思うけど?」
『やる……って、ほぇ?』
まだ、行って、ない…?
薄情者の兄貴、零の愚痴を朝ごはんの食パン片手にプンプン怒りながらパパにぶつけていたあたしはパパが言ったセリフにきょとんとする。
そんなあたしを目の前にして、多分キッチンから姿を現し出て来たであろうママに「ねぇ?」とパパは投げ掛けると、ママは「うん。」にっこりと口を開いた。
「まだ家に居るはずだよ。」
ママも、パパより二つ若いけど40歳手前で、それでもまだまだ見た目は実年齢より遥かに若い。それでもって可愛らしい。
それは156センチの低い背に童顔の所為もあるだろうけど、とにかくあたしのパパとママは若々しいのだ。