純恋
「じゃあな」
“ちょっと待って”
の一言が言えない自分がウザい。
ウザい
ウザい
ウザい
「―‥た、貴仁!」
名前を言うのにどもっちゃったけど
多分すっごく泣き目だと思うけど
貴仁が振り向いてくれれば‥
その思いで名前を呼べた。
強がりなあたしにとってはすごいことなんだよ?
「ん?」
貴仁がすぐ振り返った。
名前を呼ばれるのを待ってたかの様に。
―‥胸がすっごいドキドキしてる
あたしバカみたい‥