足跡たどって
恥ずかしかった。

だけど、今更止まらない。

「口調も気取った優等生みたいだし、身長だって、昔は私の方が、大きかったし、足だって、私の方が、速かったのに。最近の一平ちゃんて、ちっともかわいくないんだもん。」

興奮と恥ずかしさで頬が、顔が燃えるように熱くなるのを感じた。

もういいや。

言い逃げしよう。

その場を逃げ出そうとした私の腕を一平ちゃんが、掴んだ。

「くだらない理由だよ。もういいでしょ。離してってば。」

振り払おうとしたけれど、一平ちゃんの手は、びくともしない。

やがて、一平ちゃんの肩が、震えているのに気が付いた。

「ふっ。」

とうとう耐え切れなくなった一平ちゃんが、吹き出した。

「あはははは。ホントくだらない。お前、そんなことで俺を避けてたの?」

お腹を押さえてヒーヒー言いながら、一平ちゃんは、私を見た。

「しょうもないって思われても仕方ないけど、腹が立ったんだもん。」

逃げ出そうとする私の肩を一平ちゃんは、両腕でがっちり押さえつけた。

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