夕凪の花嫁
「ぼくの国は建物がいっぱいで、いろんな店があって……とてもにぎやかだったよ」



庵の言葉に耳を傾けながら草可はニ個目の饅頭を食べていた。手元には濃い緑茶が湯気を立てている。



夕凪も饅頭を頬張っている。庵はそこまで話して、とある疑問を口にした。



「最近力が弱まってる気がするんだ。なんていうか……全体的に。草可はどう思う?」

「やっぱりねぇ。うん、これは夕凪……原因を調べる必要がありそうだね、僕は留守番役だから夕凪が行くよ。ね?」

「ね、じゃない。……まあ、草可がいうなら確実か。庵はどうする?」



庵は頷く。



「ぼくもいく。夕凪には借りがあるから」

「そうか」



夕凪が微笑む。草可は何も言わず、大樹を見つめた。



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