夕凪の花嫁



見つけた。



琥珀の狐が駆けつけた先には、子供が倒れていた。ボロボロの所々破れた服には血が滲み、一目でそれが誰の血かを理解し夕凪は顔をしかめた。



この血は間違いない……



“同族の血だ”



この国の起きた事を物語っているような、そんな気がした。



吐き気がしたが、琥珀の狐から夕凪へと戻り再び扇を構える。



「治癒風」



子供の周りを柔らかい翡翠の光と優しい風が舞う。



それは幻想的な光景だった。



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