mirror
「何読んでいるんですか?」
膝に両手をついて、深呼吸しながら笑顔で聞いてきた。
何読んでるって、その前にどうしたんだよ…
とりあえず時間通りに来てるし、問題ないか。
「いや、何でもないよ。行こう。」
売り物だとわかっていても、雑誌を元の場所に放り投げた。
その時俺は、妙にムシャクシャしていた。
夜のこの街は、人通りが少なくて、いたとしても仕事帰りのサラリーマンぐらいで、念のため持ってきたサングラスとマスクは用無しのようだ。
横断歩道から少し歩いて、公園の前と俺のアパートの前を通って約5分。
映画館に着いた。
チケットと飲み物を買って、シートに座る。
今日公開だとしても、さすがに夜はガラガラだ。
ほぼ貸切状態で映画を見ていると、
なんかスゲーガン見されてるし。