ショートケーキ
「こんなもんだったんだ――」
彼の家を飛び出しても
追い掛けてくる気配もなくて
絶望の思いが駆け巡る
彼にとって私はそんな存在でいてもいなくても、どちらでもいい存在
悲しかった
私だけが好きだった
彼に好きって気持ちは無かった
私だけだったんだ
家を出たのはいいものの私には帰る所も
居場所も無くて
ただひたすら歩くしかなかった
唯一持ってるのは携帯
ポケットにある携帯を取り出して開く
それと同時に着信時に設定したバイブが手の中で震える
今一番会いたくないのに
一番声を聞きたくないのに
どうして掛けてくるの?
そんな思いが心に浮かぶのに体では出たい気持ちが現れてる
通話ボタンを押してゆっくりと耳に当てる
なんでかな、涙が出てきちゃうよ
怖い、怖い、
だけどちゃんと話さなきゃ
「は、い―――」
どんな終わりでも
もう私に怖いものなんてない
*王様ゲーム*