優しい雨
雨はひどくなることもなく、かといって弱まるでもなく、相変わらずの調子で空から降り注いでいる。

冷たい雨は次第に私の感覚を麻痺させて行く。




私は思い出した。


修一が入院した日も確か、こんな雨の日だった。




病気休暇を貰った修一は、家ではほとんど何もしなかった。

薬の副作用からか、朝に起きることは全くなくなり、午後と夜に私に介護されるまま食事と薬を取っていたが、それ以外は布団に伏したままだった。

修一は時折、布団の中で泣いていることがあって私は対処に困ったが、何も出来ないまま時間は過ぎて行った。
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