優しい雨
水中で色鮮やかなライトが点滅する洞窟を模った温泉で、彼と私は腰まで浸かってお喋りをした。

私達の周りで、彼氏に寄り添う水着姿の女性達は皆な、一様に艶やかだった。

何も考えずに、ただ目の前の恋人を純粋に愛せばいい彼女達が羨ましい。

私は彼女達を眺めていると、やはり何で既婚者で特に華美な容姿も持たない私のことを、彼が好きだと言ってくれるのか、疑問に感じてしまう。

彼に好かれる要素が自分のどこにあるのかどうしても分からず、思わず訊いてしまった。

「亮は私のどこが好きなの?」

私の質問に彼は急に真面目な顔になり、私の方に向き直って話し出した。
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