優しい雨
「それで別にありさを見習おうと思ったわけじゃないんだけど、ありさに会って俺の気持ちに変化が生まれたんだな。
考え方が変わったら、人との付き合い方も仕事の仕方も変わったよ。
そしてお前のことがまた好きになったら、人を思いやるって気持ちがどういったものだったかも思い出された。
ありさは本当に昔から変わらないな。あの頃のままの純粋なお前が好きだよ」

私は本当に彼の言うような人間だろうか?

しかし私は彼の言葉が嬉しくて、今度こそ彼の『好きだ』という言葉を素直に受け止めることが出来た。

「ありがとう。亮にそう思ってもらえて嬉しい」

彼は喜ぶ私を見つめて、愛おしそうに右手で私の頬を撫ぜた。



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