優しい雨
病院の駐車場で車を止めて貰い「ありがとう」と言って車を降りようとすると、彼は私の手を掴んだ。

「終わるまで待っているよ」

「ううん、いいの。何時になるか分からないから、今日は帰って」

「じゃあ、話が終わったら連絡して」

「分かった」

土砂降りの中、車を降りるとあっという間に全身が湿っぽくなった。


私は急いで病院の入り口へ向かった。



受付には杉井さんが私のことを待っていてくれた様子で、私の姿を認めるとすぐにカウンターから出てきた。

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