優しい雨
面会ラウンジでの修一の様子は余り変わりがなく、無気力そうな瞳でお茶の入った紙コップを見つめていた。

「調子はどう?」と尋ねると

「う~ん」と唸って考えた後に「あまり良くない」と答えた。

いつもと同様、私が面会に来ても嬉しそうな様子は見られない。

しかし普段から主治医の本田先生からは、修一は喜びが表面に出ないだけで、私が面会に来ることは生きることへの支えになっているのだと言われていた。

だから私は何が何でも毎週必ず面会に来るようにしているのだが、さすがにあまりに修一が無反応だとどうしていいのか分からなくなってしまう。



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