優しい雨
ほとんど六時丁度に約束の場所に到着すると、もうすでに二人とも来ていて談笑している様子だった。

高梨君は一緒のクラスだったのが一年間だけだったせいか、顔を見ても余りピンと来ない。

内村君は私に気が付くと笑顔で手を振った。

その様があまりにもすがすがしくて、私は内村君ほど笑顔が似合う男性はいないなどと感心する。




二人の元へやって来た私に高梨君が第一声を掛けた。

「わあー、加藤さん痩せたね。すっかり大人になっちゃって」

高梨君は内村君からもう私の事情を聞いて知っているのだろうか。

すぐにそのことが頭を過ぎったが、そんなことはどうでもいいじゃないかと自分に言い聞かせる。
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