優しい雨
その翌年、修一は東京の本社に戻るよう会社に命じられ、私達は二人で東京に住まいを構えることになった。

それから十年、私達はずっと東京で暮らしている。



結婚して何年も経っても私達は子供を授からなかった。

しかし、自分達以外に私達の子供を強く期待する人もいなかった。

修一の両親はもうすでに他界しているし、私の両親の家のすぐ近くには二人の子供を持つ妹夫婦が住んでいる。

プレッシャーを感じることのない環境の中で私達は話し合って、不妊治療等は回避して自然に任せることにした。

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