優しい雨
それから二人は私を、待ち合わせの場所からほど近いダイニングバーへ連れて行ってくれた。

そのお洒落な雰囲気に、私は圧倒されながら尋ねた。

「いつもこんなところで飲んでいるの?」

すると高梨君が

「まさか、今日は女性が居るからね、特別だよ。この店は内村が見栄張って探したんだよ。だから俺たちも今日が始めて。いつもは普通の居酒屋ばかりだよな」と内村君の顔を見て言った。

「えー、そうなの?何だか気を遣ってもらっちゃったみたいで悪いな。私なら普通の居酒屋で充分なのに」

私が恐縮して言うと

「まあ、いいじゃないか。どちらかと言うと、こういうことでもない限り、俺らこういう洒落た店には入れないからさ」と内村君が言った。
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