優しい雨
それなのに私の中で彼との恋愛は、不倫という不道徳な観念からは遠ざかっていた。

なぜなら彼は、夫の病気に振り回されて自分を見失い、壊れかけていた私を救ってくれたから。

私は、彼が冷たい沼に沈んでいく私に温かい手を差し伸べて、引き上げ助けてくれたのだというイメージが頭の中にある。

だから例え背徳な関係であっても、そんな彼への私の想いは、汚れのない至純なものに思えてしまう。

彼は私にとって愛おしいばかりか、尊い存在であるような、そんな気持ちさえしていた…




《近所のファミレスで定食食べたよ。そうね明日、何がいいかな?お好み焼きとか一人では食べられない物がいいかな》

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