優しい雨
その看護師は私達に近づき、温厚そうな笑顔で話しかけてきた。

見かけない顔なので、最近この病院で働き出したのだろうか。

「こんにちは小泉さんの奥さんですよね。初めまして玉井と申します。実は本田先生からお話があるそうなので、お帰りの際に受付に寄っていただけますか?」

「あっ、はい、分かりました」

私が返事をすると、その看護士は笑顔のまま軽く会釈し、すぐにその場を立ち去った。

「二週間前に来たんだよ彼。なかなか感じのいい人だよ」

修一が薄っすらと顔に笑みを浮かべて言った。

「そうなんだ。本田先生からお話って何だろうね。何か聞いてる?」

私の問いに

「いや、特に・・・ああ、薬が替わったからそのことについてかな?」

修一は首を傾げた。





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