優しい雨
その後の三十分の面会の間、修一はいつもの様な俯き加減ではなく、ずっと顔を上げていた。

修一は私の買ってきたプリンも食べて、また買ってきて欲しいと言った。



私は看護師に言われた通り、帰りに受付で自分の名前を名乗って、主治医に呼ばれたのでと付け加えた。

受付の二十代前半の女の子は「少々お待ちください」と言って電話の受話器を手に取り、内線で先生を呼び出してくれている様子だった。

そして受話器を置くと、受付から出てきて「こちらへどうぞ」と私に声をかけて歩き出した。

事務室の奥にある面接室に通されて、椅子を勧められ腰掛けると、事務員の彼女はすぐに部屋を出て行った。



五分後、ドアがノックされ主治医の本田先生とケースワーカーの杉井さんの二人が「こんにちは」と言いながら部屋に入って来た。


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