優しい雨
私の本心
彼と付き合うようになって一度は自分を取り戻したような気持ちになっていた私だったが、夫の外泊の話があってからは再び出口の見えない洞穴に入ってしまったような気分になった。


夫に快復の兆しが見えて、退院に向けた外泊の話があったというのに、笑顔一つ見せなかった私を先生と杉井さんはきっと不審に思っていることだろう。

私は外泊と聞いて不安だけが走り、次に彼と会えなくなると思って愕然としてしまった。

そして何よりも夫の状態が良くなって来たことを、嬉しく感じなかった自分が怖くなった。



あんなにも夫の快復を願っていたのに、私はどうしたのだろう?




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