優しい雨
「ありさは本当に同級生だった時、俺のことを気にかけていたのか?」

突然彼が訊いて来た。

彼もあの頃のことを考えていたのだろうか。

「えっ、う、うん」

「本当に」

「うん、本当に」

「ふーん、全然分からなかったな。俺もありさのこと好きだったのに、何で分からなかったんだろうな」

「私も亮に好かれているなんて、全然思わなかったよ」

「そうか?俺は結構正直に顔に出ていたと自分では思うけどな。お前と話す時、すごく嬉しそうにしていただろう」

そう言えば高校の時、話している彼の顔は笑顔しか記憶にない。

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