優しい雨
「そうかもしれない。でもただ単に結婚しているからってことじゃなくて・・・もしかしたら私は辛い現実から逃げたくて、亮と一緒に居るのかもしれない」

彼は黙り込む。

そして何かを考えている様子。

私は何を言っているのだろう?

「夫が退院前の外泊をする予定なんだ。外泊が始まったら私は夫に付きっ切りになる。そして外泊が上手くいって退院となれば、仕事以外の時間はずっと夫の側に居なければならない。もう、亮と一緒に過ごせる時間は無くなってしまう…」

「そう」

彼は私から少し身体を離し、口元に手を置いてじっとしている。

何も言ってくれない彼に、私は少し不満を覚えて問い掛ける。

「亮は私と会えなくなっても大丈夫よね?」

大丈夫じゃないといって欲しい。

もっとずっと一緒にいたいと…

「大丈夫かと言われても、ありさが会えないというのなら仕方ないことだろう」

彼は静かに答えた。


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