優しい雨
私は自分の気持ちを整理できないまま、彼の気持ちを邪推してしまった事が恥ずかしかった。

彼は私が思っている以上に純粋すぎて怖いくらいだ。

「ごめんなさい。夫の調子が良くなって来たのに、喜べなかった自分が怖くて、亮に会えなくなることが辛くて・・・本当は自分が何を考えているのかも分からなくて・・・でも亮だったら私となんて付き合わなくても、いくらでも恋人は出来るだろうにと思ったら、何だか自分が惨めに思えて来てしまって・・・」

「ありさ・・・自分を責めるな。お前をそんな気持ちにさせる為に付き合ったわけじゃない」

彼は俯いた私のおでこに、口元を寄せた。

そして私の首と肩に手を回して抱きしめた。

「愛してる、ありさ。お前は俺にも何にも気兼ねしないで、自分の気持ちに正直になればいいんだ」


吹きかけられる暖かい息にめまいを覚えながら、私も彼の背中に手を回して、すがりつくような思いで抱きしめた。
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