ほっとちょこれーと *【完】
「家庭科室にミシン借りてくるね」
「ありがとっ」
今日から本格的な準備
あたしは衣装担当
家庭科室1年生の教室棟だから遠いんだよな~
両手にミシンを持ってトボトボと廊下を歩く。
「あ……心結先輩っ」
「瑞希ちゃん」
廊下で女の子の団体の中にいた瑞希ちゃんが
あたしに気づいて声をかけた。
団体の中には麻友ちゃんの件で見覚えあるギャル系の子もいる。
「ずっとメールしようか悩んでたんです。あ…文化祭の準備ですか?」
「うん 衣装作るの」
「そうなんだ、あっ あたし手伝います。1人でミシン運ぶの大変だろうから」
ふんわり微笑む瑞希ちゃん
「じゃあ……お言葉に甘えて」
優しいよなぁ
本当に
「そういえば翼から聞きました。週末誕生日なんですね」
「あ…うん そうだよ」
「張り切ってたなぁ 翼」
翼君そんなことまで話してるんだ。
そういえば昨日メールで
『先輩の誕生日は俺ん家で祝います』……って送られてきた。
「今回は長く続くといいなぁ」
「え?」
今回はって何?