ほっとちょこれーと *【完】
ぽつーん
と部屋に残されたあたし
うぅ……男の子の部屋来るの初めて
こういうときって普通 どこに座るの?
部屋の中をキョロキョロ見回す、なんか落ち着かないな。
「お待たせ……って先輩 なんでそんなに隅っこにいるんすか?」
「だめ?」
「ダメだよ。誕生日なんだから」
誕生日だと隅っこに座っちゃだめらしい。
「おーいで♪先輩」
翼君があたしを手招きする。
「お誕生日おめでとうございます」
差し出された小さな箱
「ありがと……開けていい?」
「はい」
中にはシルバーの指輪
「先輩とお揃いの物欲しかったから…ほら」
翼君の指にも同じ指輪
「貸して」
翼君が指輪を取ってあたしの薬指にはめる。
「うん ぴったり」
びっくりするくらいジャストサイズ
「なんで?」
灯璃とかも知らないはずなのに…
「なんで……ってだっていつも手繋いでたでしょ?」
「………。」
それだけでわかるの?
すっご、やっぱただ者じゃないな。
「大切にするね」
そう言うと翼君はニコッと笑ってあたしの手を握った。