ほっとちょこれーと *【完】
「……わかった。ごめんね、先輩いきなり手え出して」
翼はあたしから顔を背けた。
違うよ。
そういうことじゃないのに…
「翼は……今までどんな恋愛してきたの?」
「え?」
「あたしが卒業してから誰とどんな恋愛してきたのよ」
「…どうしたの?急に」
怪訝そうな顔であたしを見る。
「サッカーしかないって言ったくせに」
あたしは目をそらさずに言葉を投げつける。
「あたしのこと1日も忘れたことないって言ったくせに」
やばい泣きそう…
「翼君は嘘つきだ………」
あたしは立ち上がった。
「帰る」
「……え?先輩 ちょっと待ってよ」
「帰るもん!!」
部屋を出る。
苦しくて2人きりの空間にはいられなかった。
小走りで玄関を出てドアを閉める。
「………はぁ」
何やってんだろあたし、過去は過去だってわかってたつもりなのにな…
翼は悪くないの。
ただあたしが弱虫なだけ、恋に臆病なだけ。
せっかくいい雰囲気だったのに
プレゼント貰って祝ってもらってたのに、せっかくの誕生日だったのに…