ほっとちょこれーと *【完】

「翼君 サッカー上手くなったね」


なんとなく


「練習しましたもん」


落ち着くなぁ…


「先輩が卒業してから俺には部活しかなかったから」


どういう意味?

心の中で小首を傾げる。


「………。」


あたしは無言でお弁当を口に運ぶ。



「先輩のこと1日だって忘れたことないよ」



なんだか危ない雰囲気じゃない?

状況を現在進行形で察し中



「俺 先輩のこと…今でも好きだよ」


やば言わせちゃった。


「翼君」

「はい」

「からかわないで」



よく考えてみる

パン食べながら本気で告白するやつがいるだろうか?

いや いない。



「からかってないし」


いやいや食べてるし。


「それにあたし好きな人いるから」


このままじゃきりがないと思って

とっさの嘘



「本当に?」

「本当に」



頷いた瞬間

翼君がドサッと覆い被さってきた。

ぇえ?!

あっという間に押し倒されてるあたし


「俺には嘘つけないよ」

「はぁ?!」

「先輩が嘘つくときのクセ知ってるんだ」


ま…まじか



「ちょ…何?!」



首 噛まれてない?

吸血鬼かい……


「完璧」


しばらくして満足げに顔をあげる翼君
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