ほっとちょこれーと *【完】
声を殺して泣きじゃくるあたし
颯斗は何も言わずにただあたしが泣き止むのを待っていてくれた。
「……ごめん」
少し落ち着いたあたしは小さな声で謝る。
「ありがとね…颯斗」
そおっと腕を離す。
なんてことしてんだ、あたし
「その……えっと…引き止めてごめん。教室……戻ろっか」
しどろもどろなあたし
颯斗が振り返った。
「………えっ?!」
そのままギュッと抱きしめられる。
「心結」
「ちょ…は…颯斗?!」
パニック
バタバタと暴れるあたし
「いいから少し黙ってて」
「………颯斗」
「心結には幸せでいてほしい。つらい顔しないでほしい」
押し殺したような声
訴えるような口調
「見守るって決めたんだ。頼むから……期待させないでくれ」
あたしは何も言わずに颯斗の言葉を聞いていた。
顔見えないからわかんないよ。
「心結といると諦めきれなくなる」
「………。」
それって………
「鈍感な心結でもわかるように言うよ。俺はお前が好きだ」
え………え~?!