ほっとちょこれーと *【完】
再び流れる沈黙
「……教えてください」
俺は意を決して先輩の言葉に頷いた。
「『あたしを離さないで』」
「え?」
「……とか言ってくれたらまじでキスしてたな」
「な…なんなんすか」
びびった
腰抜けるかと思った。
「勘違いしてんだよ」
「はい?」
伊吹先輩はサイダーを思い切り流し込んだ。
うわー
間接キス
「俺が気い遣ってると思ってる。好きだってこと本気にしてないんだ」
「……。」
それはないだろ~
あそこまでしたんだから。
「じれたな 俺、ずっと今のままでいるって決めたのに」
苦笑いの伊吹先輩
「お前と心結の過去は知らないけど1つだけ言えることがある」
「……なんすか?」
そういうと立ち上がって俺の正面に立つ。
「1回築いたものって壊すのに物凄い勇気いるんだ」
「………。」
「わかってんだろ?」
「………はい」
「壊すきっかけ、作るのはお前の仕事だろ。向き合えよ 心結に」
そういって伊吹先輩は俺の横を通りすぎた。