ほっとちょこれーと *【完】
『部室にcome on』
颯斗からのメールをみて部室に来てみると
そこにはなぜか翼君の姿
う………気まずい
目線をそらすあたしを翼君はいきなり抱きしめた。
え………
「伊吹先輩の名前、言わないで」
苦しいくらい強く
「俺の名前だけ呼んで」
強く抱きしめられる。
翼君の腕は震えていた。
「先輩…どこにも行かないで」
あぁ
この感覚
そうだよ、そうだった…
あたし何悩んでたんだろ。
覚えてるよ。
ずっと彼は真っ直ぐあたしをみてくれてたじゃん。
昔も今もずっと
「翼」
名前を呼ぶ
大好きな名前を
「あの日……ごめんね」
逃げたのはあたし
向き合わなかったのはあたし
散々ひどいことしたのに翼はいつだって
あたしのこと真っ正面から受け止めようとしてくれたのに
どうして受け止めようとしなかったんだろ。
「聞きたいこと、あるの」
もう逃げない。
翼の過去からもあたしの過去からも
何聞いたって受け止めてやる。
「聞かせて?翼のこと全部」
「心結……先輩」
「ずっと離さないであたしのこと」