ほっとちょこれーと *【完】
怒りにまかせて喋ってたら
素の俺がこんにちはして心結先輩に対する敬語が無意識のうちになくなってた。
先輩はそれを喜んでくれて
「翼、怖かった」って言いながら泣き笑いを浮かべた。
「わかってたし、俺」
「何が?」
「心結先輩は任意でキスされたわけじゃねーって」
怒るわけないよ。
ぎゅうっと先輩を抱きしめる。
何があっても離してやんないから。
「藍田先生が何考えてるか、あたしよくわかんない」
ボソッと呟く先輩
さっきの藍田先生の言葉を思いだす。
『身体が言うこときかなくて、頭ぼやっとして、気づいたら生徒に手ぇだしてた。でも止まんなくて…わりぃな ポチ』
心結先輩が好きでやったとかじゃないらしい。
その先生の行為が俺の怒りを5倍増し、いや10倍増しにした。
「翼?」
腕の中にいる先輩が俺を見上げる。
かーわーいー
「俺って独占欲強すぎるのかも」
「え?」
「束縛されるの嫌い?」
「キライ」
んな即答しなくても…
でも、いいよ
先輩のペースでいいよ。
「藍田先生を教育委員会に訴えよーか」
「もういいの。話を大きくしたくないから」