ほっとちょこれーと *【完】

「まぁいっか」



あたしは去年と一昨年の日誌 スコアブック 試合のビデオテープを持ってきた2つの紙袋に詰めて部室を出た。

お……重っ

颯斗

どうせ来たなら最後まで手伝ってくれればいいのに…

職員室 遠いし



「貸して」

「え?」

「手伝うよ」

「翼君」



あたしの手から紙袋をとる。

しかも2つとも


「ありがと でも1つ持つよ」


そう言うと


「はい」



翼君は軽いほうをあたしに差し出した。

紳士だなぁ……



「腕」

「ん?」

「すごい血まみれ」

「あぁ 転んだ」



紙袋を持つ右腕に大きな擦り傷


「水道で洗おうと思ったら心結先輩が見えたから」



結城 翼お人好し



「あとで保健室ついて行くからね?」



今から行けって言っても聞かないだろうし。


「いいですよ 洗っとけば大丈夫」

「ダメ」

「……。」

「ダメよ」

「…はい」


少し間があったけどちゃんと頷いてくれた。



「許したわけじゃないからね」


軽く翼君を睨んで


「これ」



首元の絆創膏を指す。



「大怪我だよ もう………」

「俺のだよっていう印です♪」


なんかずっと翼君のペースだなぁ。

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