ほっとちょこれーと *【完】
「いえいえ、亮平から『うちのエースを頼む』ってお願いされたし、心結のカレシ君なんでしょ?」
「………はい」
エースかはともかく、カレシ君です。
「だったらあたしが教えないでほかに誰が教えるのよ!!」
「ありがとうございます。桐谷先生」
「やだァ、唯菜でいいよ。あくまで非常勤教師だし」
「……唯菜さん」
さすがに呼び捨てはできないだろ。
心結先輩すら呼び捨ててないってのに…
「この学校のことあんまりよくわかんないんだけど、落ち着いて勉強するならどこ?」
「図書室はテスト週間中かなり混むから、空き教室があればいーんですけど」
「あぁ、じゃあ物理室にしよっか。先生特権で鍵持ってるし♪」
唯菜さんが微笑む。
一瞬見せる表情がどことなく心結先輩とだぶる。
会いたくなるからヤダな~
冬休みは先輩とたくさん過ごしたい。
クリスマスもカウントダウンも2人でいたい。
そのためにも絶対追試はだめ!!
「さっ、じゃあ始めよっか」
「お願いしますっ」
「気合い入ってるね、ん?」
「はい!!」
「可愛い~」
こうして対 理科総合の特別レッスンがスタートした。