ほっとちょこれーと *【完】

「いえいえ、亮平から『うちのエースを頼む』ってお願いされたし、心結のカレシ君なんでしょ?」

「………はい」



エースかはともかく、カレシ君です。





「だったらあたしが教えないでほかに誰が教えるのよ!!」


「ありがとうございます。桐谷先生」


「やだァ、唯菜でいいよ。あくまで非常勤教師だし」




「……唯菜さん」




さすがに呼び捨てはできないだろ。

心結先輩すら呼び捨ててないってのに…




「この学校のことあんまりよくわかんないんだけど、落ち着いて勉強するならどこ?」


「図書室はテスト週間中かなり混むから、空き教室があればいーんですけど」


「あぁ、じゃあ物理室にしよっか。先生特権で鍵持ってるし♪」




唯菜さんが微笑む。

一瞬見せる表情がどことなく心結先輩とだぶる。



会いたくなるからヤダな~


冬休みは先輩とたくさん過ごしたい。

クリスマスもカウントダウンも2人でいたい。



そのためにも絶対追試はだめ!!




「さっ、じゃあ始めよっか」

「お願いしますっ」

「気合い入ってるね、ん?」

「はい!!」

「可愛い~」






こうして対 理科総合の特別レッスンがスタートした。


< 190 / 300 >

この作品をシェア

pagetop