ほっとちょこれーと *【完】
「ちょっと休憩しよっか」
「あ……はい」
時計を見るとかれこれ2時間が経過
「すごい集中力だね。あたしのほうがギブだよ~」
「すみません。付き合わせちゃって」
「全然~♪このままだったら今日中には理科総合制覇かもよ?」
唯菜さん、教えるのプロいし
超わかりやすい。
副業で教師はもったいないと思う。
「唯菜さん、1つ聞いてもいい?」
「ん、なんだい?」
「なんで芸能界入ろうと思ったんすか?」
「唐突な質問だなァ」
唯菜さんは少し間を開けて、言う。
「学生時代なんだけどね、あたし演劇部だったの」
「はい」
「好きな人がいたんだけど、その人との関係を崩すのが怖くては気持ち伝えられなかったのね」
「うん」
相づちを入れながら唯菜さんの言葉を待つ。
「その人に言われたの。『お前の演技が大好きだ』って。だから芸能界に入ろうって思った」
「そうなんすか」
「動機、不純でしょ。引いた?」
「いやいや、全然。むしろ気持ちわかります」
好きな人に気づいて欲しい気持ちは痛いほどわかる。
妙に親近感わくなぁ