ほっとちょこれーと *【完】
「クリスマス、空いてる?」
テストが終わって無事に終業式を迎えたその日の帰り道
「空いてたらなんだけど…一緒に過ごしてくれないかな?」
「………。」
俺、結城 翼
目の前のこの人桐谷 心結
カノジョ
「ねぇ、聞いてる?」
「はい!!もちろんですっ」
思わず敬語
心結先輩から誘ってくれるなんて思ってなかったし
テスト前の部室事件から口聞いてくれてなかったから
クリスマス一緒にいてくんないかと思ってた。
「先輩っ 大好き」
「やめて、ここ電車なんだから」
抱きつこうとする俺を引き離す先輩
照れ隠しって受け取っていいの?
受け取っていいよねっ
「どこ行く?」
「んーそうだなぁ…」
小首を傾げる先輩
特にないのかな?
「じゃあやっぱ俺が決めてもいい?」
こういうのわりと好き
「うん」
「じゃあ当日のお楽しみと言うことで♪」
そう言って心結先輩の手を握る。
前だったら振り払われてたんだよなぁ…
握り返してくれる先輩を愛しく思うし
大切にしようと思うし
伊吹先輩のことには触れないでおこうと思う。