ほっとちょこれーと *【完】

悲しそうに笑った。


「ずっとそばにいたからあたしのこと好きじゃないことくらいわかる。あたしじゃダメなの」

「………。」

「心結みたいに真っ直ぐに生きたかった」


声が少し震えてるのがわかる

唯菜さんは泣いてるみたいだった。



「yuinaが演じてたのば桐谷 心結"なの」

「………。」

「本物にはなれない」



唯菜さんはブレーキを踏んだ。



「心結先輩に本当のこと言わないの?」

「言わない」

「なんで?」

「嫌ってほしいから」

「………。」

「心結はこんなあたしが大好きなの。だから、大嫌いになってほしい」



やっぱり助手席に座ればよかった

顔 見えないからわかんない。



「お別れだよ」



俺は車から下りる


「………最後に1ついいですか?」

「うん」


唯菜さんが窓を開ける




「誰に頼まれてこんなことしたんですか?」



「なかなか鋭いとこ突いてくるねェ。お姉さん関心しちゃう」

「……ふざけないでください」


「クライアントの名前言うのは反則だけど、教えてあげる」



笑顔



「中田 瑞希」

「………え?」

「じゃあね」




< 236 / 300 >

この作品をシェア

pagetop