ほっとちょこれーと *【完】
「………それでお前の気は晴れるの?」
「うん」
瑞希が頷く
「ごめん……」
「え?」
「やっぱりできない」
「………。」
あの頃とは違うんだ。
心結先輩が1番大切で、傷つけたくない。
瑞希には本当に悪いことしたって思ってる。
だけど……無理
「だよね」
シレッとした口調で瑞希が言う。
「あたしの言葉なんかで翼が気持ち変えるわけないよね」
「………。」
「あたしとヤッて変わった?」
瑞希が言う
「翼は変わってないよ。惨めな思いをしたのはあたしだけ」
ハジメテ
瑞希としてからも俺の生活は変わらなかった。
身体の関係を持ったのは瑞希だけだったけど、普通にいろんな子と遊んだ。
瑞希は止めようとしてくれたのに……
好きな人がいるのに俺なんかのために
ずっと心の中で泣いてたんだ。
「翼はずるいね」
「………。」
「翼だけ幸せになるなんてずるいよ」
瑞希が顔を歪める。
「今度はあたしが壊してやる」
「………。」
彼女をぐちゃぐちゃにしたのは俺だ。
「翼も心結先輩もたくさんたくさん泣けばいい」