ほっとちょこれーと *【完】
身体中の血の気が引いてる。
なんで?
なんで別れるなんて言うんだろ……
あたしのこと嫌いになっちゃった?
それとも他に好きな子でもできたのかな……
もう どっちでもいいや。
「いいよ」
考えたくない。
それに聞きたくないよ……
翼の口から理由なんて聞きたくないんだもん。
「心結先輩まで何言ってん!!」
勇心君の声
視界がぼやけて、翼の顔もぼやけて
あぁ あたし泣いてる。
「ハッピーバレンタイン」
精一杯 強がって笑顔を作る。
余裕なんかないくせに余裕ぶるのはあたしの悪い癖
「お誕生日おめでと」
床に落ちたチョコレートを広いあげる。
翼があたしを嫌いになるわけない
なんて思うあたしは自意識過剰だよね。
だけど他に理由があるに決まってるし
あるって信じたい。
だけど………無理。
理由はなんであれ別れるのを選んだんだよ?
翼のつらそうな顔が見える。
弱虫 意気地
翼なんか………
「大嫌い」
チョコレートを投げつける。
こんなもの くれてやる!!
あたしが身を引いてあげる。
好きにすればいい。