ほっとちょこれーと *【完】
「きーりたに先輩」
「何かな?」
「俺と付き合いましょう♪」
「………。」
要君
あたしと翼が別れたこともう知ってるんだね。
あ……部活で?
「やだ」
「いいじゃん」
キャラじゃない要君
あたしのこと慰めようとしてくれてるのかな?
「ありがとね」
「……ほんとは俺の役目じゃないよな」
あたしがお礼を言うと要君がボソリと呟いた。
「伊吹先輩」
「え?」
「じゃないと結城の代わりにはならねぇよな」
「………。」
颯斗か……
部活でもクラスでも
あたしが落ち込んでるときに慰めてくれるのはいつも颯斗だった。
さりげない優しさが大好きだった。
恋愛感情だったかはわかんないんだけど……
「伊吹先輩に何言われたか知ってる?」
「………え」
「恋愛禁止の取り消しのとき」
「知らない」
あたしも気になってたんだよね。
なんで要君の気が変わったのか……
「『向き合わないと戦えない。恋も部活も一緒だろ?』って」
「………。」
なんか 颯斗らしいね。
「伊吹先輩には勝てないと思ったんすよ」