ほっとちょこれーと *【完】
「言わないよ」
そんなつもりで呼び出したんじゃない。
ただ……
確認したかっただけ。
「瑞希ちゃん 翼が好きなんでしょ?」
「だったら何よ」
「………ごめんね」
あたしは頭を下げる。
「やめてよ。なんで先輩が謝るの?」
「あたしが翼を傷つけたとき支えてあげたのは瑞希ちゃん」
「……。」
「なのに 都合のいいときだけあたし……」
「やめて」
「翼に好かれてたいなんて思ってごめん」
「……やめてよ!!」
瑞希ちゃんが叫ぶ。
「同情したりしないで!!むなしくなるじゃん」
あたしは頭を上げない。
「自分勝手なくせに あたしになびかない翼なんか嫌い」
「……うん」
「そんな翼が振られても追いかける心結先輩なんて……」
瑞希ちゃんは泣いていた。
「大嫌いだ」
「……わかってる」
瑞希ちゃんがここまでなったのには
理由があるような気がするんだよ。
もし翼が瑞希ちゃんを傷つけたなら
あたしも償わなくちゃいけないと思うの。
謝って済むことじゃないってわかってるけど
あたしは他に方法を知らない。