ほっとちょこれーと *【完】

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中学校に向かってあたしは走った。

辺りはだいぶ暗い

真っ暗



グラウンドの裏
部室の横の並木道



あたしたちが始まった場所




「……はぁ」




校門の前で息を整える

部活の生徒も下校時間を過ぎていてとっくにいない。



鍵がかかっていたけど校門に手をかけて登る

まぁ不法侵入


スカートだから少し抵抗はあったけど

暗いし見えないからいいか。



思い切り飛び越える



「あれ………」




待ち合わせ場所

誰もいない



「……翼?」



待ってるんじゃなかったのかな?

周りをキョロキョロと見回してみる。


おかしいな………



「あっ」




ふと思い出す。



3年前のこと


あの時もたしかそうだった。



『部室の横に来てください 待ってます』


送り主の名前がない小さな紙切れがあたしの下駄箱に入っていた。


ドキドキしながらここに来たのを覚えてる……




あたしを呼び出したくせに相手はなかなか来なくって

モヤモヤしながら


『いたずらだったりして』


なんて思ってたんだよなぁ……




階段の1番下の段に腰掛けて足を伸ばしてみる。


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