ほっとちょこれーと *【完】


「だぁから ごめんね?」


「………。」



軽くあしらってみると

翼君は少し笑みを浮かべた。




「俺は心結先輩が好きなんです…」



なんだ

ちゃんと覚えてるじゃん。




近くまで行くと翼はやっぱり泣きそうだった。


変わったのは外見だけ

中身はあの頃のままの翼



あまりに可哀想で

なんだか可愛くて

あたしは俯く彼にキスをした。




覆い被さるようにキスした3年前よりも

なんだか不格好なキス

背伸びするような格好




あたしは翼よりもずっとずっと変わったんだよ?


もう気持ちのないキスなんてしないんだから……



好きなの

大好き




「翼君に似合う彼女 見つかるといーね」




あの時は傷つけてごめんね?


あたしに翼を責める資格なんてないの。

全部の発端は他でもないあたし



でも翼はこんなあたしを追いかけてきてくれた。


おかげでいまのあたしたちがある。




「俺に似合う彼女なんてね」



翼はニッコリと笑ってあたしを抱きしめた。




「心結先輩以外ありえないっての」



ずっとずっとそばにいてね。


あたしだけの子犬な王子様




end
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