ほっとちょこれーと *【完】


「キャプテンいますか?」

「今日休みだよー」


3年生の校舎

こんな日に休みなんてついてない



「心結 呼ぼうか」

「……はい」



しょうがない

桐谷先輩に渡そう。



「あーっと……翼君」



桐谷先輩の演説の影響で1年生部員30人

俺 ヘタクソだし目立たないし

まだ名前覚えられてないんじゃないかと思った……



「あの これ……」


退部届けを手渡すと桐谷先輩の表情が変わる。



「理由教えてもらってもいいかな?」

「……限界なんです」



「何が?」

「俺 小さいから……サッカー向いてない」



なんとなく目を合わせたくなくて

俯いたまま話をする。




「それだけか……」

「え?」


それだけ?

じゅうぶんな理由じゃんか……



「ばっかみたい……小さいからって諦めちゃうの?甘えたこと言ってんじゃねーよ!!」


桐谷先輩が言う。



「背が低い分高くとべばいい、歩幅が狭い分速く走ればいい、それだけでしょ?」

「………でも」


そんな簡単なことじゃないよ。



「努力もしないで簡単に諦めんな」




そう言うと桐谷先輩は俺に退部届けを突き返した。


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