ほっとちょこれーと *【完】
あたしが言うと颯斗は少し間を開けてから答えた。
「キスしよっか」
「………。」
「………。」
ん?
「あははっ。颯斗が言うと冗談に聞こえないよ~」
めちゃ真顔だし…
「お待たせいたしました」
ちょうど料理が届く。
おいしそ~♪
「食べよ」
「おう……」
食べながら雑談
部活のこと
クラスのこと
受験のこと
再び恋バナが浮上してくることはなく
やっぱ硬派な颯斗
「いいよ」
「え?」
「俺が払うわ」
なんだかんだで奢ってくれたし
ジェントルマン♪
「颯斗が彼氏だったら女の子は幸せだね」
「よく言うよ」
「いやいや 本当に」
こんないい人なかなかいないよ。
ちゃっかり家まで送ってもらってるあたし
「だったらさぁ」
「だったら?」
「彼女になってよ」
「いいよ」
「え?」
「……なぁんてね。冗談でもそんなこと言わないの~」
あたしは隣を歩く颯斗の背中を叩く。
「好きな子が悲しむぞーだっ」
「………。」
家の近くの公園にさしかかる。
「なぁ あれ…」
颯斗が指差す先に見覚えのある姿
そこには翼君と女の子がいた。