ほっとちょこれーと *【完】


「ごめんね。付き合わせちゃって」

「いや 全然」



いつもみたく電車に乗る。

家まで送って

バイバイって言う。

ただ今日は違う。

瑞希が家の鍵を忘れたから帰れないらしい……



「8時には帰ってくると思う」



ストーカーいるかもだし、1人にするわけにもいかないし

仕方なく近くの公園で時間をつぶす。



「ありがと」

「あぁ」





いつまで瑞希を家に送るんだろ。

嫌じゃないんだよ?

ただ

心結先輩に不信感は与えたくないなぁ。



「瑞希 彼氏作ればいいんじゃない?」



俺みたく役じゃなくて本物のカレシ



「………。」



ぎゅ

突然

瑞希が抱きついてきた。



「え?ちょ…何」

「いらない」

「……?」

「翼がいい」



言葉が選べなくてしばらくそのままでいる。


「あ…ごめん」


突如ガバッと身体を離す瑞希



「……慣れない高校生活で精神的に参ってるのかも…気にしないでね」


しばらくして瑞希の家の前にタクシーが止まる。



「ごめんね また明日」

「……じゃあな」

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