ほっとちょこれーと *【完】
何言っとんねん。
「じゃあまじでやめろよな!!」
要君はそう吐き捨ててグラウンドに出て行った。
「とりあえず保留。結城も黒沢も練習戻れ」
颯斗が言う。
「でも俺……
「いいから行けよ」
渋る翼君の背中を颯斗が押す。
「麻友ちゃん、大丈夫?」
「……うぅ」
「今日は帰りな?」
「はい………」
号泣する麻友ちゃん
可哀想に…
「何考えてるんだろ。要君」
最近なんかイラついてるもんね。
「たぶん結城への当てつけだな」
「え?」
「FWのポジションを結城に取られそうで焦ってんだろ」
「あぁ……」
それでか
「次期キャプテンなのに試合に出れないとか、シャレになんねーってぼやいてたもん」
プレッシャーとか感じてるんだろうな。
「でも実際、結城は才能あるしやめられたら困るってのが俺の本音ね」
颯斗は苦笑いをした。
そりゃ勝ちたいもんな~
「あたしたち付き合ってないし平気だよ」
「でも結城やめる気じゃん?」
「大丈夫だって。翼君にはサッカーしかないんだから」
たくさんの傷を思い出す。
なんだかんだ言ってサッカー少年だもん。