ほっとちょこれーと *【完】
「イケメンっちゅうのも困るもんやなァ」
「……まぁ」
「結城とおると俺様の美男子っぷりが発揮できへんわ」
入学式早々
廊下を歩いても教室にいても
なんだか女の子たちに見られてる気がする。
「好きでこんな状況じゃないよ」
「結城みたいなやつは男子校とかのがよかったんとちゃうか?」
隣でボヤいてるコイツ武宮 勇心(タケミヤ イサミ)
「なんやぁどうしてもここがよかった理由とかあるん?」
「まぁね」
短く答える
そう俺には理由がある。
「女か?」
ニヤニヤと武宮が言う
「まぁ…」
俺は初恋の人がいるこの高校に進学した。
「はっはーんセンパイやろ?結城さっきから妙~にテンション高いやんけ」
「うん」
そう
心結先輩に会いたくて俺はこの学校を選んだ。
「せやけどあの人彼氏おるんとちゃうか?」
「んー わかんない」
「お前完全に忘れられとったやんか」
彼氏?
そんなの関係ないし
「俺さっきの先輩2人ともめちゃタイプやねん」
「や…やめろよ 武宮」
「軽いアメリカジョークやてっ」
俺は先輩を自分のものにするべく
わざわざこの高校にやってきたのである。