ほっとちょこれーと *【完】
「折れてますね」
「………。」
「よくこんな状態で部活やってましたね。日常生活にも支障がでるくらいのケガですよ。いつからですか?」
「……3週間前」
「はぁ、もっと早く来てください」
病院の先生がレントゲンを見ながら呆れた声で言う。
颯斗の足は明らかに腫れてる。
「試合なんてもってのほか走ったり衝撃与えないでくださいね」
「……テーピングでどうにかならないですか?」
「無理ですね。安静にしてください。将来に影響しますから」
「……。」
事実上のドクターストップ
あれ
3週間前
「あ……もしかしてあの時?」
階段であたしを庇った時
『しばらく……俺が部活休むよ』
ケガしたんだ。
『俺に任せろって。1週間……練習できないくらいどうっとことねぇよ。テスト終わったらまだそこから2週間あんだからさ。休養休養♪』
颯斗
自分のケガが軽くないって気づいてたんだ。
わかってて言わなかったんだ。
やだ……泣きそう。
「心結、お前ちょっと待合室で待っとけ」
藍田先生に言われて診察室を出る。