ほっとちょこれーと *【完】

「……っ」


だめだ。

だめだめ……

泣くなあたし

1番つらいのは颯斗だよ。

自分のせいじゃないのにケガしたんだもん。




しばらくして

診察室から松葉杖の颯斗と藍田先生が出てきた。




「車 おもてに回してくるから、そこでちょっと待ってろ」

「……はい」



藍田先生の言葉に颯斗が頷いて、あたしの横に座る。



「ごめん……」



どうしよう顔見れないよ。




「あたしのせいで…最後の大会なのに。颯斗の夢奪っちゃった……ずっと…頑張ってきたのに」



1つ1つの言葉を言う度に辛くなる。



絶対に颯斗の前では泣いちゃいけないのに涙止まんないよ。




「ごめんなさいっ」

「心結……もういいよ」



トンとあたしの頭を自分の胸に引き寄せる



「もういいからさ。俺なんかのために泣くなよ。バーカ」


「………っ」


「俺が悪いんだ。もっと早く病院来ればよかったんだ」



少しも颯斗は悪くないよ。


不注意で階段踏み外したのはあたしなのに……



どうして?

罵ってほしかったのに、責めてほしかったのに…

颯斗の言葉はあまりにも優しすぎたの。


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